今回は仕組みと全体像がわかりにくく、疑問点が多く寄せられる住宅ローンについて解説いたします。
金利の種類を知ろう
金利とは、住宅ローンの借り入れ金額に応じて金融機関に支払うことになる利息のことです。
住宅を購入する場合、頭金を準備したとしても金融機関から借り入れをして元本と利息を返済していくことになります。
例えば住宅ローンで1000万円の借り入れを行い、年利が1.6%だとすると年間16万円の利息が発生します。
仮に35年間支払い続けるとすると、利息だけでも約306万円以上支払うことになります。
このように住宅ローンを組んだ場合、高額な金利を支払うことになるのです。
この住宅ローンの金利はおおまかな分け方をすると、固定金利と変動金利に分けられます。
同じ金額の借り入れでも、どちらのプランを選択するかで金利の総額が変化します。
そのため場合によっては金利の選択で損をする恐れもあります。
住宅ローンを検討する皆さんは、最低限の金利に関する知識を知っておくべきと言えるでしょう。
全期間固定金利
全期間固定金利とは、最初に金利を選択してから住宅ローンを完済するまで、金利の変動のないタイプです。
固定金利特約型
固定金利特約型とは、一定期間の金利を固定するという仕組みの特約を付けた住宅ローン金利です。2年、5年、10年、20年、25年など固定金利の期間を選択することができます。
この特約期間が終了した場合、何も手続きをしなければ変動金利に切り替わります。また、更に一定の期間を選択して金利を固定するという選択肢もあります。
変動金利
変動金利は6ヵ月ごとに金利の見直しが行われ、経済状況等に応じて金利が変化します。固定金利よりも当初金利が低めに設定されていることが多いです。
但し、金利が大きく上昇した場合利息の負担が大きくなるため、十分注意が必要な金利体系と言えます。
全期間固定金利のメリットとデメリット
メリット
全期間固定金利のメリットは、金利の上昇リスクがないこと、将来の返済計画を立てやすいことです。
金利の上昇というのは正確に予測することが難しいものです。金利は国内景気の動向、国内物価、外国為替、海外金利、金融政策、株価などの要素が複雑に絡みあって決まります。
そのため変動金利は政策金利ともいわれており、現在は低水準を維持していますが、将来的には金利上昇のリスクが生じる可能性もあります。
また、固定金利はローン期間中金利が変動しないため、長期に渡る将来の返済計画が立てやすい金利です。
デメリット
全期間固定金利のデメリットは、金利が高めであることと、金利が下がらないことです。
全期間固定金利は変動金利の1.5倍~2倍という場合もあります。これは総返済額にすると数百万円~数千万円の金額差が生じることになります。
また、金利が上がるというリスクが無い分、金利が下がるという恩恵を受けることができません。これが全期間固定金利のデメリットと言えます。
変動金利のメリットとデメリット
メリット
変動金利のメリットは、金利が安く毎月の返済額が安いことが挙げられます。変動金利は基本的には固定金利より安く設定されているため低金利が続く昨今では、変動金利の方が返済負担を抑えることができます。
デメリット
変動金利のデメリットは金利が上昇する可能性があることです。但し、変動金利には「5年ルール」と「1.25倍ルール」と呼ばれるものが存在するため、金利が上昇したからといって即座に家計に深刻な影響が出るわけではありません。
「5年ルール」とは金利が変動しても5年間は、返済額そのものは変わらないというものです。そして、「1.25倍ルール」とは、金利変動に伴い返済額が上昇しても最大でこれまでの返済額の1.25倍までしか上がらないというものです。
そのため、これらのルールがあれば変動金利を選択しても、金利上昇のリスクはある程度緩和できると言えます。
変動金利における最悪のリスクは未払い利息の発生です。これは金利上昇によって毎月の返済額の中で、利息の負担率が増えることで、元本の減りが鈍化することを意味します。
また、利息が上昇を続けて返済額を超えると、超えた分は未払い利息となってしまいトータル返済額が大幅に増えてしまうという事態が考えられます。
変動金利を選択する場合、これらの特徴を理解したうえで選択するようにしましょう。
みんなが選択している金利の種類は?
住宅金融支援機構が有識者に向けて行った調査結果元に、住宅ローンを組んでいる皆さんが、どのような金利を選択しているのかをご紹介します。
住宅金融支援機構の調査結果では変動金利を選択する人が最も多く56.5%となっています。(2017年調べ)
最も選択する人が少なかったのは、全期間固定金利です。加えて、変動金利は2015年の第一回目の調査から20%以上増加していますが、全期間固定金利は25%以上割合を減らしています。
これは低金利が長期化することを見込み、変動金利を選択する人が増えていると考えられます。
特に住宅ローンを組むのはファミリー世帯であることが多く、子育てや毎日の生活に費用がかかります。この理由から、毎月の負担が少ない変動金利を選択する人が多いと考えられます。
昨今ではメディアも住宅ローン変動型が急増していることが取り上げられており、低金利の長期化が見込まれていると報道されています。
これらのメディアによる低金利の長期化報道も変動金利を選択する人が増えていることに起因している可能性があります。
最後に
住宅ローンを組む際に注意したいのは、固定金利と変動金利のどちらを選択するのも一長一短であることを理解したうえで、自分の家庭に合った金利を選択することが大切です。
それぞれの金利の特徴もわからず、とりあえず目先の返済額が安いからという理由で金利を選択することは将来的に思わぬ落とし穴にはまる恐れがあり、非常に危険です。
短期間のローンであれば変動金利も選択肢になりますが、ある程度資金に余裕があるのであれば、固定金利を選択することで将来のリスクを軽減することができます。
各金利のメリット、デメリットを理解してご自身にあった住宅ローンの計画を立ててください。