不動産売買契約書については難しい文言が多く、一般の人には理解しにくいことも多く書かれています。このページでは不動産売買契約書を読み解くコツや、基本事項の説明、注意点を解説しています。
トラブルを回避するために
土地購入の際には、不動産売買契約書に署名捺印を行います。この契約書の内容をきちんと理解して契約を結ばなければトラブルに繋がる恐れがあります。
インターネットの大手弁護士相談サイトには約3,000件以上の不動産売買に関するトラブルが報告されています。 そういったトラブルを回避するためにも、基本事項について理解し、契約内容を把握して取引できるようになりましょう。
不動産購入には売買契約書が必須
土地購入をする際には、不動産業者が不動産売買契約書を準備します。業者が準備する契約書だからこそ、事前に入手してしっかりと内容をチェックしておきたいです。契約書の発行は法律で義務付けられています。不動産会社は契約成立後に遅滞なく契約内容を記載した書面を、宅地建物取引士に記名押印させて交付することが義務付けられています。
不動産売買契約書の内容
対象となる土地に関する記載事項

目的とする土地の所在、地番、地目、地積など登記簿に記載されている土地の基本情報が書かれています。登記簿記載の土地の面積と、実測した面積が異なることによってトラブルとなるケースがあるため、地積の確認や境界についても十分現地確認を行うとよいでしょう。
売買価格

取引される金額が記載されています。支払日や坪単価など相違がないか確認しましょう。
注意点としては土地が公簿売買なのか、実測売買なのかを把握しておきましょう。実測売買であれば、実際に測量した地積に1m2当たりの単価をかけ合わせて売買金額が算出されます。また、契約段階では公簿内容で契約して実測後に差額を清算する方法も実測売買です。公簿売買は登記簿の記載内容の地積で契約をするため、実測面積との違いがトラブルに発展することもあります。
手付金
手付金に関しては、その取扱い方が書かれています。手付金の相場は土地代金の5%~20%です。手付が妥当な金額か、支払い時期はいつか、解約手付ならばいつまで手付解除が可能かをしっかりチェックしましょう。
所有権の移転と引き渡し

所有権の移転時期について記載されています。実際の取引の場合は不動産会社に代金の支払いをして、それと引き換えに所有権移転登記に必要な書類を譲り受けることになります。
固定資産税

土地の売買契約では、固定資産税等の公租公課を取引当事者の間で精算します。精算は引き渡しの日を基準に、日割りで行われます。
債務不履行

取引当事者の一方が契約の履行をしない場合は契約の解除等の措置を取れる旨が記載されています。
期限の利益の喪失

買主や売主に財産状況等が悪化したとみられる事由が生じた場合、契約を解除できる旨が記載されています。
不動産会社から土地購入をする場合に、代金を支払い前にその不動産会社が銀行から資産の差し押さえを受けたとします。そうなった場合、代金支払い後に不動産会社が倒産し、結果的に土地の引き渡しを受けられなくなる可能性があります。その様なリスクを想定し、契約の解除が可能であるという文言を定めます。
損害賠償

売買代金の支払い遅延等によって生じる、遅延損害金についての支払い条項が記載されています。
不可抗力

土地購入の売買契約締を結んだ後に、自然災害等の不可抗力が生じて契約の履行ができない場合は、その責任を問わないという内容です。
合意管轄

契約について争いが生じた場合、売主・買主どちらの地域の裁判所で裁判を行うかの取り決めが記載されています。
契約の注意点
登記簿謄本の内容と見比べる
取引の対象となる土地について、登記簿上の面積と実測面積に相違がないかを確認しましょう。トラブルを防ぐためには、「実測面積と公簿面積が異なった場合でも売買代金は変更しない」、「面積当たりの単価は○○円/m2とする」などの文言を付記するといいでしょう。
埋蔵物などが出てくる事への想定
土地の売買では地盤の緩みや、埋蔵物などが発覚することがあります。埋蔵物とは産業廃棄物や危険物であることが多く注意が必要です。
購入者側の立場として契約日から10年程度は、もし埋蔵物が発見された場合売主がその処理費用、現状回復費を負担するという文言を記載できればリスク対策が可能です。
登記に関して
登記手続きの費用の負担はどちらが負担するのか確認しておきましょう。また、抵当権等の担保物権が土地に設定されていないかを確認しましょう。抵当権が抹消されているかは、登記簿を法務局で入手して実際に確認してみるのが良いでしょう。